その名の通り、町の一角にいくつものお寺が建ち並ぶ、まさにミニ古都の面影を偲ばせるエリアです。 寺から寺へ静寂の凜とした空気を楽しみながら、しばし歴史散策を愉しめます。
寺町案内人
地元ボランティアが時間や希望に応じて、4か寺を中心に案内します。要予約。
TEL: 090-4336-8882(西前氏)
常念寺
〈願勝寺・安楽寺・西教寺・林照寺〉から東へ少し足を伸ばした ところに位置しています。
憩の苑
山門前には「憩の苑」と呼ばれる広さ450坪にもおよぶ庭園があり、 寺院全体に深い趣をそえています。
安楽寺
願勝寺の東に位置します。豪壮な山門が朱塗りであることから、赤門寺の名で親しまれています。また、本格的な能舞台を備えている県内唯一のお寺としても有名です。
由来
千葉山・妙音院「安楽寺」<浄土真宗・本願寺派>
もとは真如寺(しんにょじ)と称した天台宗の四国総録〈統轄〉でした。鎌倉中期の1259(正元元)年、関東から関東の豪族であった千葉彦太郎常重が入寺し、浄土真宗 安楽寺と改め現在に至っています。
阿波の守護職 小笠原・細川・三好の各国主と姻戚関係を結び、庇護をうけて寺勢を拡張し、阿波・讃岐・淡路の各地に寺院を創立し、四国における最古、最有力の真宗寺院として栄えました。
藩政時代にも、藩主の優遇のもとに繁栄を続け、江戸時代の末寺帳によれば、その中期には、阿波に21、讃岐に50、伊予に5、土佐に8、計84か寺の末寺があったということです。
安楽寺の山門
安楽寺を一般に「アカモン寺」と呼ぶほど、この山門は近郷近在の人々に親しまれ、寺のシンボルとなっています。朱塗りの重層門(二層・三層・・・の重層構造の門)で、県下五大門の一つに数えられています。
2009(平成21)年より山門の改修工事が行われ、翌年3月、色鮮やかな「赤門」が姿を現しました。
重層門の県下五大門
徳島市の「丈六寺」〈曹洞宗〉の三門
土成町の「熊谷寺」〈真言宗 四国霊場8番〉仁王門
山川町の「高越寺」〈真言宗〉の山門
池田町の「箸蔵寺」〈真言宗〉の大門
美馬町の「安楽寺」〈浄土真宗〉の山門
安楽寺の能舞台
寺院は仏の教えを伝える以外に伝統継承も大切な役割と考え、1996(平成8)年4月 に誕生しました。能舞台は一般開放しているため、能狂言の上演以外にも伝統芸能や講習会など、また結婚式の前写しにも使われています。
美馬能楽の会
本格的な能舞台で能楽鑑賞を楽しむ会。会員を募り、年会費によって能狂言舞台の上演や、学習会などを催しています。
【問い合わせ先】安楽寺TEL(0883)63-2015
願勝寺
「あづま屋」から石段を登ったところに位置します。本堂の裏には有名な「枯山水の庭園」が見られます。
また、敷地内には「美馬市立郷土博物館」も開館しています。
由来
宝壷山・真城院「願勝寺」<真言宗・御室派>
奈良時代に忌部五十麿(いんべいそまろ)が祖父の菩提を弔うために、阿波上郡に方壷山維摩寺(ゆいまじ)を建立しました。
平安時代 藤原信西(しんぜい)の娘 阿波内侍(あわのないじ)が崇徳天皇に仕えてたいへんかわいがられていました。
たまたま 第77代 後白河天皇(崇徳天皇の弟)の御代(みよ)に、 保元の乱〈上皇と天皇の対立による戦い〉が起り、崇徳上皇側が破れ、 崇徳上皇は讃岐に流され、1164年の8月 讃岐の地に崩御されました。46歳でした。
阿波内侍は、これを聞いて悲嘆にくれ、仏門に入り比丘尼(びくに)となり、館(やかた)を改め寺とし、上皇のご冥福を祈りました。その寺が京都の願勝寺でした。
はばかるところがあって、内侍尼は了海上人(りょうかいしょうにん)に託して京の願勝寺を母の生国の阿波に移し 維摩寺 改め願勝寺としました。
これが現在の願勝寺のはじまりです。
願勝寺・枯山水の庭園
本堂の裏側に位置し、四国最古の庭園の一つに数えられています。
由来
南北朝時代(1336~1392)の築造とされる四国最古の池泉式枯山水の庭園。
昭和33年 鈴江弥太郎氏によってその価値が発見され、京都林泉協会会長重森三玲先生によって全国にそのすばらしさが紹介されました。
文部省は昭和41年 科学研究費補助金によって、調査費を交付し、大阪美術館 佐々木利三氏によって同年秋実測を終え、「岩組み」は、かの有名な京都天龍寺の庭の「岩組み」と同一手法で全国に散在する五つの滝の一つと判明しました。
西教寺
安楽寺・林照寺と共に、寺から寺へと渡り歩ける距離にあります。
本堂は1858(安政5)年に建立され、県下では珍しい経蔵が昭和5年に建立されました。後房・書院・門徒会館・庫裡などは1985(昭和60)年3月に改築されたものです。
由来
至心山・千葉院「西教寺」<浄土真宗・本願寺派>
西教寺は、江戸時代の初め、1609(慶長14)年に安楽寺 第10代千葉正宗が三男の了宗を連れて隠居して建てたお寺です。俗に隠居寺とも呼ばれていました。
藩政時代には、藩主御目見え等の諸事は、安楽寺と同様の格式をもち、美馬市・三好市・美馬郡・三好郡や香川県内の10か寺の末寺をもった大寺です。
林照寺
秋には、みごとな菊の花が庭を彩ることで有名です。
由来
光暁山・智明院「林照寺」<浄土真宗・本願寺派>
寺伝によると室町時代末期の1520(永正17)年 安楽寺 第8代の住職願証の弟 林証が開基したといわれています。資料によって1673年 江戸中期に創建という説もあります。
桃山様唐門1964年(昭和39年建立)を入ると銀杏の大木があり、1985(昭和60)年再建の本堂(鉄筋コンクリート造り)に映えて、美しい景観を見せています。
交通アクセス